2月9日(金)、丸の内TOEI1でndjc2017完成5作品の合評上映会を開催しました。関係者の方をはじめ、多くの一般モニターの方にもご参加いただき、各作品の上映後には監督、出演者が登壇して舞台挨拶を行いました。
※以下上映順/抜粋
『トーキョーカプセル』舞台挨拶コメント
ささやかなある1日の中で主人公の女の子を中心に、周りの人たちが少しだけ前進するような、かわいくて温かい映画にしたいと思い作りました。
—テーマに関して
もともと東京や日本など独特のロケーションを舞台にしたお話に興味がありました。カプセルホテルは外国人の友人からも面白いと言われ、実際に取材をしてみてとても面白かったので、その時に自分で見て聞いて得たエピソードを中心に膨らませて脚本を書きました。直樹が演じたカプセルホテルに半年ほどずっと閉じこもっている人は実際にいて、カプセルホテルの中で支配人の方たちが温かく見守っているっていうのがとても素敵な場所だなと思いました。
—今後の作品に関して
せっかく東京だったり日本に住んでいるので、その空気感だったり、女性だからこそ描ける世界観だったり、何か1つ強いテーマがある作品を作っていきたいなと思います。
出演者:りりか(佐藤理子役)
無事撮影が終わり、こうして1つの映画が出来て、今とてもホッとしています。監督は自分の中に“こうしたい”というのがしっかりある方で、丁寧に作っている感じがしました。
出演者:川合諒(小澤直樹役)
監督の姿から優しさが溢れていて、リハーサル中も優しく丁寧に話してくれたりして、それが監督の根っこの部分からの優しさと言いますか、愛を感じてからは、役者として当たり前ですが、改めて監督の要望に応えていきたいと思いました。
出演者:大塚怜央奈(舞役)
フィルムでの映画製作に携わることができて光栄に思います。監督が寄り添ってくれる方なので、撮影をしていて助かる部分もありましたし、演技しやすかったです。
出演者:田中日奈子(祐美役)
フィルムで撮ったものをこんな大きなスクリーンで観られるのは、すごく貴重なのでずっとニヤニヤしながら観ていました。ありがとうございます。
出演者:さいとうなり(美希役)
3人ともクラブに行ったことがなくて、撮影前に監督とみんなでクラブに行きました。エンドクレジットを観ていてこんなにも多くの方が携わり、協力していただいていたんだと思って感動しました。
『カレーライス Curry and Rice』舞台挨拶コメント
せっかくこのようなまたとない機会で『カレーライス』を作ることになったので、自分らしいカレーライスにしようと思い、今まで見てきた映画や学生時代の想い出を詰め込んで、ここにいらっしゃる俳優の皆さんと一緒に作品を作りました。
—テーマに関して
カレーライスを作った男が死に、そのカレーライスが残される、という断片的なアイデアが最初にあり、カレーライスを中心にストーリーを考えようというところが出発点ですが、特別な意図を暗示するようなことは考えていませんでした。作っていくうちに、カレーライスが謎めいたものになってきたなという手応えはあって、作りながら見つけられたのかなと思います。
—モノクロを選んだ理由
脚本を書くのが初めてで、映画をちゃんと撮れるのだろうかと心配で、映画らしいスタイルを整えるところから始めようと思い、モノクロという表現方法を選びました。そうすることで非現実のフィルターが1枚かかるような物語になって、今ではモノクロで本当に良かったと思います。
—今後の作品に関して
今回は脚本が個人的な話で少し乾いたトーンで引いた視点で撮ったのですが、次は直球勝負というか、メロドラマとかにも挑戦したいなと思います。
出演者:井之脇海(村橋満役)
撮影の時からすごく良い作品になるのではないかという予感がしていたのですが、食べ物のカレーライスのように明日思い出して、明後日思い出して、また少し寝かせると違った味が出てきたりする作品になったなと思います。
出演者:安藤ニコ(ジャンヌ役)
演技自体初めてだったので全体的に不安で、普段英語は学校などで話してますが、ジャンヌはフランス人なのであえて流暢に話さずアクセントを入れたりするのが難しかったです。監督は昔のフランス映画に出てくるようなフランスの女の子をイメージされていたと思うのですが、carefreeなところが私と真逆なので、そこをとても意識しました。ちょっと自分の世界に入っているような女の子の感じが難しかったです。
出演者:松浦祐也
3人の中で私が1番年上で、監督にも現場に入る前に「松浦さんよろしくお願いします」と言われたのですが、現場で一番テイクを重ねました。長いカットだと60テイクくらい撮りました。本当に初監督にしては粘るなというくらい粘られて(笑)。プロデューサーや撮影部はフィルムの残数が気になってピリピリしているのですが、井之脇くんと安藤さんは「松浦さん、大丈夫ですよ」と言ってくれて優しいなと。そういう現場でした。皆さまには迷惑をお掛けしました、ありがとうございました。
『もんちゃん』舞台挨拶コメント
保育園に勤めながら作っていた「ボクラノホイクエン」という保育園児を表現した詩集の中に「もんちゃん」というタイトルの1篇の短い詩があって、その詩を原作に映画を撮りたいと思ったのがきっかけでこの映画を作りました。
—子どもの演出に関して
慌ただしい現場で大きな声を出し合ったり、みんな急いで急いでという雰囲気の中で、子役の4人は本当によくやってくれたと思います。本当はもう少しのんびりとした雰囲気で、じっくりとできたら良かったと思います。絵を描くシーンは、当日だけとなるとなかなか難しいですし、時間もかかるので、プロダクションの一室で絵を描く練習を1日やりました。
—今後の作品に関して
今回は死別を体験した時に生じる悲しみ<グリーフ>についての映画で、今後も考えていきたいと思っております。最近、医療や教育の現場でグリーフケアがとても必要になってきていますが、どうすればこれを治癒していけるのかと考えた時、私は寄り添うということだと思いました。寄り添う心って何なのだろうと考えたらそれは“母性”だと思います。女性だけではなく男性にも母性はあって、小さな動物や草木にも母性があると思っています。この現代の中で、私は母性が軽視されていると感じていて、母性をもっと強く大きなものにしていったら、母性というのは戦争をしたがらないですし、平和が訪れると思うんですね。より平和な世界になるように私の精神と肉体を使いきってそれを広めたいと思います。
出演者:大和田賢(風見紋役)
もんちゃん役の大和田賢です。鶴ちゃんと休憩中に折り紙で遊んだことが楽しかったです。
出演者:榎本梨乃(風見鶴役)
鶴役の榎本梨乃です。もんちゃんと折り紙で一緒に遊んだことが楽しかったです。
出演者:眞島秀和(風見正人役)
監督の演出通り、本当に慌ただしい雰囲気をそのまま演じました。子供たちとはなるべく自然体で接しようというのはもちろんですが、カメラが回っていないところでも元気いっぱいなので、そういう子供たちと長い時間一緒にいるというのは芝居の中ではとても難しいことだなと改めて気づかされました。監督自身が保育士ということもあって、もんちゃんや鶴ちゃんに非常に優しく演出される光景を見ていて温かい気持ちになりました。
『化け物と女』舞台挨拶コメント
監督:池田暁
30分の短編ということで本当にシンプルなものを作ろうと思い、化け物と女という1人と1匹の話が見えたらという思いでこの映画を作りました。見終わった後に、化け物って何だったんだろう、という風に感じてくれたらいいなと思います。今日はたくさんのキャストの方が来てくれて嬉しいです。
—撮影について
35mmフィルム撮影に関しては、難しいことや大変なことが色々出てくるかと思ったのですが、実際やってみると意外となく、役者の方々やスタッフのみなさんのおかげで、今まで撮っていたような形をそのままやれたなと思います。音に関しては、三味線が何ヶ所かで流れるので、それ以外に音は付けたくなくて、基本的には静かな感じで、三味線のところだけは音楽で満たしたいなと思っていました。
—今後の作品に関して
少しでもいいので、毎回新しいことにチャレンジしていきたいと思います。今回は古い時代のような設定の作品だったので、今度は未来などをテーマにした映画を撮ってみたいと思っています。
出演者:熊倉一美(樋口待子役)
撮影前に監督の作品を拝見して、この中に溶け込めるのかというのが不安だったのですが、とてもいい環境で撮影させていただき、とても楽しくできました。
出演者:きたろう(永井町長役)
今日初めて観ましたが相当面白いです。みんな劇団員みたいな感じで、監督がとても愛されている感じがします。監督は役者を信じてないのじゃないかという感じがありますけど、やってみると意外と楽しいんですよね。何とか役者を信じさせてあげようと思って、そのせめぎ合いが僕はとても楽しかったですね。
出演者:芝博文(竹園役)
正面をずっと見ながらご飯を食べるというのは難しいので、皆さん是非やってみてください(笑)
出演者:よこえとも子(典子役)
役場の会計係でそろばんを打たないといけなかったのですが、打てないので差替えをお願いしたところ、池田監督から「それはよこえさん頑張ってやってください」と撮影前日に言われ、アメとムチのある監督だと思いました。
出演者:梶原みなみ(文子役)
終始「こわいですね」しか言わなかったのですが、この「こわいですね」をどうやって言うかをリハーサルの時から悩んで、一貫したものがありながらも人間性が見えていたらいいなと思います。
出演者:小野修(野口警官役)
こんな警察官いないよな、と思いながらやっていました。今日はありがとうございました。
髙宮洋平(三味線指導・妖怪の三味線演奏)
普段なかなかこういったお仕事はできないので、とても貴重な良い経験が出来ました。
出演者:井上早紀(陽子役)
婚姻届をなかなか貰えず、相手役の人にずっと肘をついていた井上早紀です。みんな変な役ですが、すごく変な役だったなと改めて思いました。とても楽しかったです。
出演者:仁後亜由美 (的場の娘役)
的場署長が町を出て行く時に一緒にいた「だれだれ」と言っていた娘役の仁後亜由美です。今日はありがとうございました。
出演者:小山弘訓(町民役)
足を折った町長を運ぶ戸板を持っていた町民役の小山と申します。町長の足がうまく揺れる持ち方をするのが一番難しかったです。
出演者:南久松真奈(大家役)
昭和が大好きでセットに狂喜乱舞しすぎて皆さまには大変失礼しました。本日はありがとうございます。
『さらば、ダイヤモンド』舞台挨拶コメント
今回、私の中でテーマにしたことはしっかり映画を作るということです。地に足を着け、一流のスタッフと俳優の皆さんと映画を作ることをテーマに撮った作品です。元々この話を作ろうと思ったのは、去年の頭くらいに仕事の後輩がカミングアウトしたということがあり、私自身、偏見はないと思っていたのですが、初めてでびっくりしたと言うか、親しい間柄であっても受け入れられない部分があって、嫌になったという訳ではなく、単純にびっくりしたんです。それでそういう話を作ってみたいと思い、その後輩や他の人たちにも見てもらいつつ、脚本作りを重ねて、最初の頃とは随分趣の違うものになりました。
—登場人物に関して
「悪い人を出さない」のは意識したことで、これは単純に私の短い人生の中で悪い人に会ってこなかったというのがありました。つらいとか言ったりしても、受け止めてくれる人たちがいましたし、逆につらいことを言ってくる人はいませんでした。私の人生の登場人物を描くとこういう人たちになったという感じです。
—今後の作品に関して
私は怪獣映画が好きで、たとえSFとか怪獣映画であったとしてもテーマは同じだと思うんですよね。自分と違う人やものを受け入れていくことをどう表現をするかというだけであって。今回は野球でしたが、SFならば自分とは違うもの、例えば宇宙人などを使ってドラマを作っていけたらなと思っています。
出演者:伊藤祐輝(吉田元気役)
台本を見た時は自分とはかけ離れている役だと思ったのですが、リハーサルで監督から「観ている人に、これは自分と違う世界に生きている人だという気持ちを主人公に持ってほしくない。普通の人がいつの間にか普通じゃなくなっちゃう怖さとか、そういうのを表現したいんです」と言われました。
出演者:佐藤祐基(三浦亮介役)
僕自身野球の経験者で、隼人役の伊藤さんは甲子園ベスト4のエースピッチャーだったので、彼の球を受けたことも嬉しかったです。フィルム撮影なので絶対に失敗できないというプレッシャーの中、元気のカミングアウトを聞いた時、おそらくそれを知っていた亮介の優しさをどういう風に出すかというのは、現場に入ってグラウンドの空気を感じてそこに元気がいて、というところで生まれてきたものがあったので、とても良い発見だったなと思いました。
出演者:橋本真実 (山崎華菜役)
監督が本当に私たちを信用してくれているというのはリハーサルの時に伝わっていたので、もう腹の中をすべて見せようと思いました。実際には言わない言葉かもしれないけど、自分たちでいかに真実味をもっていけるかということを強く意識しました。やはりそれは俳優の皆さんの結託した気持ちがあったのではないかなと思います。
ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。いただいたご講評は、作家育成ならびにプロジェクト発展に役立たせていただきます。
合評上映会は東京・大阪・京都・名古屋・と4カ所を巡り、また期間限定ロードショーとして、2月24日(土)より有楽町スバル座にて、3月10日(土)よりミッドランドスクエア シネマにて、そして3月17日(土)よりシネ・リーブル梅田にて各1週間ずつ上映いたしました。
足をお運びいただいたみなさま、誠にありがとうございました。
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