「グッド・ストライプス」「トイレのピエタ」公開記念 ndjcがつないだ2つの縁 PROFILE まつなが・だいし(右)/1974年生まれ。大学卒業後、「ウォーターボーイズ」(01)などに出演。その後、映画のメイキングやTVドラマの監督を経て、性同一性障害の現代アーティストを8年間追い続けたドキュメンタリー映画「ピュ〜ぴる」が第40回ロッテルダム国際映画祭、第11回全州国際映画祭など数々の映画祭から招待され、日本では2011年3月に公開される。その他の作品に「MMA ドキュメンタリーHYBRID」(13)「GOSPEL」(14)など。 ―「ndjc」に参加したきっかけをお教えください。 岨手:大学に通いながらENBUゼミナールという映画のワークショップに通っていて、そこで作った短篇「コスプレイヤー」が水戸短編映像祭に入賞したんです。自分の作品でも評価されるんだって驚きつつ(笑)、その後も自主映画を作っていたらENBUゼミナールから連絡をいただき、推薦してもらって応募しました。 松永:大学在学中から映画が好きで、映画の仕事に携わりたいという一心で役者になりました。でもその後、アルタミラピクチャーズの桝井省志さんと知り合い、「発想がおもしろいから監督やってみたら」と言っていただき、それで試行錯誤しながら友人のアーティストを撮ったものが、デビュー作の「ピュ〜ぴる」(11)になったんです。その公開と同時期くらいに桝井さんからndjcに応募してみないかと声をかけてもらったのが参加のきっかけですね。 ―ndjcに参加してもっとも良かったことは何ですか。 岨手:プロの役者やスタッフと作品を作れたことですね。プロの現場は各ポジションにスペシャリストがいて、その方たちとどうやって良いものを作り上げていくのか、自分が介入するさじ加減を勉強させてもらいました。自主映画では、良くも悪くもすべての分野に自分が関わらざるを得ないので。 松永:僕はびっくりするくらいよくできた話なんですが(笑)、「ノルウェイの森」(10)などを手がけてきた小川真司プロデューサーが、たまたまndjcで作った作品「おとこのこ」を観てくれる機会があったんです。その後、「ピュ〜ぴる」も観てくれた小川さんから連絡をいただいたことで、今年公開の「トイレのピエタ」が実現したという…。だから僕の場合は、ndjcがひとつの起点になってずーっと繋がってるんですよ。あんまりにもうまくいきすぎてるんで宣伝じゃないかと思われるかも(笑)。 ―やはりndjcで培った縁が今も続いているんですね。 岨手:私もndjcで「アンダーウェア・アフェア」を撮った直後、本作のプロデューサーをしてもらった西ケ谷寿一さんに、「長篇を撮りたい」と言っていて。震災などで長らく実現できなかったんですが、その間もずっと西ケ谷さんや「アンダーウェア〜」のラインプロデューサー・金森保さんにとても良くしていただいて、新作「グッド・ストライプス」を作ることができました。本作には他にも「アンダーウェア〜」でお世話になったスタッフの方が半分くらい参加しているので、間違いなく縁は続いていますよね。 松永:ndjcに参加した時、次に行くためのステップとして「ここまで到達したい」というビジョンが明確にありました。それは、「ピュ〜ぴる」がドキュメンタリーだったから、フィクションを撮ったらこんなものが作れますということを提示したかったんです。そのためにndjcで作った「おとこのこ」があったからこそ、新作の「トイレのピエタ」があるのは間違いないです。 ※このインタビューは、「キネマ旬報2015年3月上旬号」に掲載されたものです。 |
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